水彩画の描き方(上級編4)


4.着彩のテクニック(その2)

(3)マスキング画法

 この画法は、静物画などを描く時に応用できます。例えば、白地で表現したい物(または部分)が、細かい(または小さい)ために表現しにくい場合(例えば、カスミ草やあるいはシクラメンの葉脈など)に用いられる方法です。

 使用方法は、あらかじめ、白地で表現したいところに鉛筆で下書きをし、そこにマスキング溶液(特殊なゴム溶液)を細い棒などで塗り、ゴムの乾き(塗る度合いにもよりますが、1時間以上はかかる)を待ちます。ゴムが乾いてから、全体(ゴムの箇所も含む)を着彩をします。その後、乾いたゴムを指ではがして画面に白地を表現し、必要に応じて白地の箇所にも彩色を施します。

 マスキングを使用する場合の注意事項としては、画用紙は厚手のものを使用することと、あまり広くゴムを塗らないこと(塗る面積が多いと画用紙の表面がはがれる)です。この方法を用いることにより、カスミ草などの細かな花なども容易に表現できますが、多用すると不自然に見えますので、特別な場合を除いては使用しないほうがよいでしょう。

 マスキングの他に、白の修正液を使っても白地を表現できますが、自己主張が強いため、多用すると不自然に見えますので、注意して使用してください。また、白色系の色鉛筆や不透明絵具でも同様な目的で白地を表現できますが、全体的に見て違和感が生じないようにすることが肝要です。

 できましたら、特別な方法に頼らないで、周囲を着色して白地を残す画法で描けるよう研究してみてください。


マスキング溶液を用いて描いた
シクラメンの葉脈
マスキング溶液を用いて描いたシクラメンの葉脈


乾いた溶液をはがして、着色した
シクラメンの葉
乾いた溶液をはがして、着色したシクラメンの葉脈


(4)グリザイユ画法

 この画法は、本来油絵の下絵を描く技法の一種で、灰色系の色で明暗を表現する方法です。石膏デッサンなどで明るい面と暗い面を描き分けるように、最初に画面上の対象物全体の陰影を灰色系の色で着色し、その後で全体を本来の方法で着色します。

 この方法の利点は、あらかじめ画面上の陰影を全体的に塗り分けることにより、その後の着色が容易になり、結果的に短時間で絵を完成させることができることです。ただし、対象物の陰影を色抜きで見抜くことができないと、対象物の色にごまかされて本来の陰影と食い違う場合もあります。

 そこで、グリザイユ画法でしっかりと描くためには、無色の対象物(石膏像など)の陰影だけを描く訓練(デッサンの勉強など)が必要になると思われますが、知識としてこのような画法もあるということを知っておいていただければと思います。


グリザイユ画法で描いた風景画
グリザイユ画法で描いた風景画


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