読売掲載記事(2006年9月12日)

 現場にこだわり18年で描いた1000駅
 厳選100駅 画集出版


 元国鉄マンで、18年余に1000駅以上の駅舎を描いてきた武蔵野市の水彩画家・大須賀一雄さん(69)が、活動の集大成となる画集「あなたの街の駅物語」を出版した。JR東日本管内の青森から静岡までの100駅の作品を厳選、当時のエピソードや水彩画の技法も紹介している。大須賀さんは「本を見ながら列車の旅をしている気分を味わってもらえれば」と話している。



画集を出版した大須賀さん

 大須賀さんが駅舎を描き始めたのは、1988年2月。JR東日本がローカル線の駅を紹介するパンフレット−旅もよう」を発行するにあたり、表紙の絵の制作者に、社内の絵画クラブに所属していた大須賀さんに白羽の矢が立った。機関助手として国鉄に採用されるまでは、画家を目指していた大須賀さんは「こんな機会は二度こない」と二つ返事で引き受けたという。

 当時、大須賀さんは同社の国際課で、外出人訪問客のガイドなどを担当。日常業務を続けながらの制作だったが、臨場感を出すため実際に現場に赴き描くことにこだわった。週末は、仕事が終わると職場まで家族に着替えを持って来てもらい、夜行列車で目的地に向かった。イス付きのリュックサックに腰を据え、スケッチから仕上げまで約2時間。1日に2駅、3駅とハシゴした。

 雪が降って絵の具が凍ったり、トラックの振動に悩まされたりしながら、6年間で東日本の12県を回り、約800駅を描いた。スケッチ中にお菓子を持って来てくれた少年や、店の中に招き入れ、スケッチの場を提供してくれた店主らとは、今も手紙の交流が続く。

 パンフレットの発行は93年で終了したが、透明感のある色彩や優しい絵柄が評判となり、大須賀さんの元には、業界誌の表紙絵や新聞連載の依頼も舞い込むようになった。

 JR退職後も駅舎巡りは続き、97年からは毎年、JR東日本の依頼でカレンダーの挿絵を描き続けている。同社によると、管内の駅舎は約1200駅あるが、大頴貸さんが描いた駅舎はその8割以上にのぼるという。大須賀さんは「季節と共に駅の表情も変わる。情緒豊かな駅のたたずまいが好きなんです」と笑う。



大須賀さんが大好きな
東京駅の丸の内駅舎

 駅舎を描き続けた18年余の集大成となる今回の画集は、カレンダーに収録された作品の中から、国の重要文化財に指定されている東京駅の丸の内駅舎や、保存をめぐり議論を呼んでいる国立駅舎など100駅を選んだ。巻末には、原宿駅を例に、実際に描く過程を写真を描く技法を替え歌で紹介したりしている。2000部を自賛出版したが、7月には日本図書館協会から、良質な図書として「選定図書」に選ばれた。

 大須賀さんは 将来は外国の駅舎を描き、現地で個展を開きたいと夢を膨らませている。定価2000円。申し込みは大須賀さん宅(電話:0422・53・3050)へ。(本の申し込みに関しては現在送料込み2400円になっております。:大須賀注

 元の原稿はこちら


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